創業するにあたって金融機関をはじめ外部の協力を得るためにはビジネスプランが必要だと聞き、作成しましたが、彼らが納得する内容かどうか、また、ブラッシュアップが必要な場合、そのアドバイスを受けるにはどうすればよいのでしょうか。
A ビジネスプランの「目的は」、企業の成長を先導する手段として「内部向けの目標管理」と、資金調達や対外信用を補完する「外部向けのアピール」に区分されますが、ここではご質問の後者に絞って説明します。
ビジネスプランを評価する外部者としては、投資を行うベンチャーキャピタル(VC)、融資業務を行う金融機関、取引先、公的な支援機関等さまざまです。当然のことですが、評価者が変われば評価の視点も多少異なります。たとえば、VCは株式公開(IPO)によるキャピタルゲインを期して事業の「成長性」を重視します。それに対して、金融機関は債権保全の立場から「キャッシュフロー(償還能力)」を重視する傾向にあります。
それでは、ビジネスプランの基本的な評価ポイントについて説明します。まず、ビジネスプランが5W1Hで具体的に作成されているかどうかです。ビジネスプランの中には縷々説明文があっても、要点がさっぱりといったものも少なくありません。
起業したいという意欲は強く感じられるのですが、一番肝心な商品コンセプトが明確でないビジネスプランも散見されます。たとえば、身近な老人介護の実体験から、介護福祉事業の成長性を見込んだビジネスプランを作成する起業家がいます。しかし、一口に介護福祉事業と言っても、介護機器を提供する事業もあれば、介護サービスを提供する事業もあります。また、介護サービスにも、施設を伴うものと伴わないものがあります。そしてそれぞれに強力なライバルが存在するわけで、抽象的な商品コンセプトのまま事業を興すことは無謀です。「顧客ターゲット」が絞り込まれ、提供する「顧客価値」が明確になっているかどうかが評価されます。
その他、「事業の実現性」「計数面での測定可能性」「現時点での課題認識と対策(マイルストーン設定)」というポイントも評価されます。
最後に、ビジネスプランの評価項目を「事業の魅力度」(外部環境)と「能力の適合度」(内部環境)に分けて以下に示します。
○事業の魅力度(外部環境)−事業としての魅力度はどうか−
市場規模、成長力、競争力、リスク分散、業界の再構築、社会的優位性
○能力の適合度(内部環境)−事業に適した起業家であるか−
資金力、マーケティング力、製造力、技術力、原材料入手力、マネジメント支援
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