相談者
30代後半 女性
エステティクサロンを開業したい
開業の資金調達についてアドバイスが欲しい。
私からの質問
① いつ頃、どこで開業を考えていますか。
② 会社の形態は1)法人ですか、2)自営ですか。
③ 会社の設立に必要な資金はどのくらいですか。
④ 自己資金をどのくらい準備していますか。
⑤ これまでにエステに関する経験はどのようなものがありますか。
これらの質問は、創業に当たって考えておくべき基本的なものです。
資金調達をする観点から考えてみると、①~⑤の質問は下記の様々な準備につながることが判ります。
① いつ頃、どこで開業を考えていますか。
・ 開業準備や開業後の運転資金が必要であり、いつから資金が必要になるのかが明確になる。
・ 立地、物件は重要な要素で立地、物件によりかかる費用も顧客の見込みも大きく変化する。従って、必要な資金額が大きくなったり、小さくなったりする。
・ 開業場所を登記住所にする場合、その都道府県や市区町村で融資支援制度やその内容が異なるので注意。
② 会社の形態は1)法人ですか、2)自営ですか。
・ 株式会社と個人事業との相違により、外部の信用や代表者のリスクが異なる。
・ 決算方式が異なる。
・ 税金が異なる。
③ 会社の設立に必要な資金はどのくらいですか。
・ 初期費用と開業後の費用がいくらかかるか予想を立てる。
・ 費用明細を準備する。
・ 売上がいつから発生し、いつ頃黒字化するか予想する。(損益分岐点計算)
・ 黒字化するまでに掛かる累積費用が、計算上の必要資金総額である。
・ 予定通りに黒字化しない場合は、追加的な資金が必要になる。
④ 自己資金をどのくらい準備していますか。
・ 必要資金の総額に対して自己資金はいくら準備しかた。
・ 自己資金で足りない分を外部から資金調達することになるが、その具体的な方法はなにか。
⑤ これまでにエステに関する経験はどのようなものがありますか。
・ 金融機関など外部から資金調達をする場合、非常に重要な点は、これまでに起業しようとする仕事と関連した経験や技術があるか。あるとすれば、どのような経験で何年くらい経験してきたか。例えば、エステシャンとしての資格がある。他店で勤務経験があるなど。
以上のような内容は金融機関等に借入申請をする場合に、前もって把握しておかないと審査の対象にならない又は審査で却下される可能性があるので非常に重要です。
利用可能な公的支援制度
一般の金融機関は、創業資金について昔と違って担保があるからという理由では融資をしてくれない。
創業資金の資金調達に有効な支援制度は大きく2つあります。
1)政府系金融機関の融資制度
日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)は条件際整えば殆どの中小企業に対して融資をしますが、創業時に利用することを薦めるのが、無担保・無保証の新創業融資制度(公的支援制度の1.資金調達 2)日本政策金融公庫 ①新創業融資制度参照)です。金利は、若干高いが代表者の保証も不要であることが大きな特徴です。
制度のポイント
・ 融資限度額1,000万円
・ 2期の決算を終えていない
・ 創業に必要な資金の1/3以上の自己資金を確認できる
・ 経験、技術等がある
・ 創業計画書の記載
注意:最初は自己資金で廻して、資金が足りなくなったので借りたいと相談に来る場合があります。資金が足りなくなると貸さないのが金融機関といわれています。計画の段階で足りなくなるのを見越すのと、足りなくなってから借りに来るのでは、計画性という意味で大きな違いがあると判断されるからです。
2)制度融資(公的支援制度の1.資金調達 4)制度融資参照)
制度融資とは、各地方自治体が行っている事業資金の融資あっせんのことです。各地方自治体の都道府県や市区町村による中小企業向け制度融資には、いろいろな制度があります。中でも創業・起業向け融資制度は、信用保証協会が一般の金融機関に保証をすることで、中小・ベンチャー企業が一般の金融機関から創業資金等を融資を受けやすくしています。
制度のポイント
・ 各地方公共団体によってその内容は異なるので確認
・ 金利は政府系金融機関より低い場合が多い
・ 利子の補給や保証協会の保証料の補填がある場合が多い
・ 税金を滞納していたり、過去に融資を受けたり、保証人になったりしている場合にはその返済に延滞等があると利用できないことが多い
※最も重要なアドバイスは、事業を失敗しないためにはどのようなリスクが考えられ、どのような準備が必要かを伝えることです。成功する方法を教えられるコンサルタントはいないと思った方が良い。なぜなら、この時点で将来に起こる様々な危機を予測し、準備することは不可能に近いので。